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てつるぶろぐ

仮住まいなう

旭山 遠きにありて思ふもの(文字だらけ)

480.76 zoo/aquarium

そしてかなしくうたふもの。



行ってきましたよ北海道なおはなし。9/17編。
(16日は八角(魚ね)食いました旨かったですってしか書くことがないのでいきなり17日(笑))

今や夏の入園者は上野を超えるという旭山動物園、3連休の中日ということもあってものすごい人でした。人の入りも含めて見に行ったから別にいいんですけどね。
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開園20分前。
20分後にはこの行列が3倍になってました…orz


中に入ってうろうろして思ったこと。
確かにテレビや新聞・雑誌なんかで報道され尽くしている通り、話題の行動展示では動物が近くてとてもキャッチーな感じだったり、「見せる」設備が非常に整っている印象を受けました。ペンギンやアザラシ、ホッキョクグマのアクリルを多用した、水族館と言ってもいい程の設備はもう「うまいなあ」とぐうの音も出ないほど。
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しろくまくまー


でもですね。
その見せ方がどうこうっていうのよりも、もっとこう芯の強い生真面目さみたいなものが、行動展示だ何だに関わらず筋の通ったものとして実際に生きている感じを強く受けました。(そもそも行動展示がなされているのはごく一部で、他の動物は旧来の動物園らしい設備に飼育されています。)例えば動物資料展示館(大体この類の建物はどこの動物園でもあるんですが見に行く人の少ないこと少ないこと…旭山もそうでした)でやっていた『外来生物展』。動物園でありながら帰化植物もカバーしていたり意欲的。アライグマや蛙、ムシキングの流行で業界人みんなガクガクブルブルな(笑)カブトムシの話などのトリに来ていたのはブラックバス特定外来生物種認定を巡る釣り業界と環境省と環境・動物系研究者や団体のすったもんだの紹介。それ自体はテーマにぴったり沿ったものなのですが、内容が…強気。博物館学で展示の勉強ほんのちょっとだけ齧った身として言うなら、あそこまで我の強い展示は見たことがない(^^;
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「→指定反対派と早期賛成派の双方が妥協。外来生物法が一気に骨抜き」
「(パブコメ募集開始で)バス釣り雑誌やバスプロなどが読者に指定反対を投じるようインターネットや雑誌をフル活用し煽る」
「この指定をめぐり、自分たちの食いっぷちを残しておきたい業界団体やそれに旨味がないかうごめく一部の政治家を巻き込んで『すったもんだ』がありました」
「指定反対派の『バス釣りは子供の自然体験と情操教育に役立つ』という言い分はどうかと思いますが(人が作った人工自然ですよ。)」
「この『すったもんだ』に関わった先生方は、本当に日本の経済や自然について真剣に考えてくれたのでしょうか?『どうせ選挙のためでしょ?』というのは、あまりにも穿った考え方でしょうか?」

動物園という公共施設がどこまで政治的発言をして良いかという問題はあるかと思いますが、良い悪いはともかくこの展示を見た時に本当に背筋が伸びました。普通に考えて筋が通ってることを政治的文脈だからと内々に収めるのでなくって、来たお客さんに対して本気でボールを投げる姿勢(しかも明らかにビーンボールも入ってるよね…)の日和らなさに鳥肌立つほど感激しました。もうこの言葉を捧げたいと思います。

「選ぶべきものを選ぶときに選び方を躊躇する奴は口先だけだ」『図書館戦争有川浩メディアワークス、2006.3


最後の編集後記も熱のこもったいい文章だったので勝手にテキストに起こしておきます。問題あったら通報してください。
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「北海道の外来生物の現状展」にこめる熱い想い
 旭山動物園は、動物本来が持つ行動や能力を最大限引き出す展示手法が人々を引きつけ、今や全国区の人気施設となりました。人々が動物園に足を運び、動物観察・学習を楽しむ機会が増えたことは、大変幸せに感じています。
 しかし、動物園の潜在的可能性がこの一過性のブームの陰に隠れ、十分に機能を果たせていないのではないかと心配です。例えば、野生動物の保全や環境教育を進める上で、入園者に見合った人々の心を響かせ動かせているのでしょうか?
 2006年6月16日、当園の付近で外来種アライグマが初捕獲されたのを受け、8月9日、旭川市と北海道上川支庁が共催でアライグマ問題とその防除対策について考えるフォーラムを開催し、当園も「外来種アライグマの生態と在来種に及ぼす影響」と題して生態系の保全について懸命に訴えました。しかし、残念ながら関係者以外の一般参加は少なく、その反響も満足の行くものではありませんでした。ただ、ここで立ち止まってしまうことは本意ではないので、今後も身近な石から拾い集める努力を続けていく必要があるでしょう。動物の"すごさ"や"おもしろさ"を伝えることには手が届きそうですが、身近な自然や野生動物を守ろうとする気持ちを広めるにはもっとエネルギーや工夫が必要だと感じ始めています。
 1993年に発表された世界動物保全戦略の中で、将来の動物園に対して「種の保存」と「環境教育」の役割を求め、「21世紀の自然保護センター」として機能するよう指導されています。動物園は、野生動物の生態、行動や疾病などの関するさまざまな研究を行い、彼らの保全に還元することができるのです。
 今回、この外来生物展を開催できたことは幸運なことで、一人でも多くの方に"地球(生態系)の健康を守るための保全医学拠点"動物園のもっと伝えたい機能について知って頂ければ幸せです。
 皆さんにもお願いです。
 身近な自然を守るため、正しい知識を身につけ、その魅力を伝えてください。

今月になって入った30万人超の入場者(9/21現在)のお客さんのうち、どれだけがこの文章を読んで、どれだけの胸に突き刺さったでしょうか。
他にも旭山の"原点"エキノコックスのパネル、野生動物保護受け入れ中止についての説明(北海道が動物園に丸投げしたらしい…orz)、いのちの学舎などなど、立ち止まる人も少ないけどまじめに一生懸命色々なことを伝えようとする意志をひしひしと感じました。

そしてそういう目で周りを見回すと、この明らかにキャパを超えた、尋常じゃないと言ってもいいお客さんの入りは彼らスタッフにとって喜ばしいことなんだろうかと考えたり。ホッキョクグマ舎のアクリルの前で声を張り上げて「後ろにも沢山お客様がおられます!立ち止まらないで下さい!」と叫ぶスタッフさんや(大体動物園で「立ち止まらないで下さい!」なんて言わせてしまっている状況って絶対間違ってる、スタッフの彼ら/彼女らは動物を前にして立ち止まって眺めてきただろうし、眺めることそのものの意味を知ってるからこそまさに今その仕事をしていると思うから)、一日中「ペンギン館入館待ちの最後尾はこちらです!」だとか「フラッシュは止めて下さい!止められない場合は撮影しないで下さい!」と言い続けるスタッフさんのことを考えたら辛くって。動物のエンリッチメントは今戸惑いながらも全国的にどんどん進歩していっているのに、スタッフのエンリッチメントが犠牲になっているのだとしたら、それはいずれお客や動物のエンリッチメントにも跳ね返りとして質の低下を招くのは間違いないと思うし。何より他でもない自分もまさにその共犯にいるとわかっているから、唯々無性に悲しくなりました。
で、人も多くてどうせちゃんと写真も撮れないのでいっそ罪滅ぼしだっ、と思って勝手にそこらに落ちてるゴミ適当に拾って回りました。
すまんね、それぐらいしかできずに。

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強い日差しに喉が渇いて呑んだビール。苦かった。


旭山の副園長の坂東さん(園内でお見かけしました。食堂で後輩さん(?)にラーメンご馳走しておいででした(爆))の日記にも


8月もチンパンジーの森のオープン,お盆期間の夜の動物園と今シーズン最大の山場を超えました。まさかここまでと思うほどの記録的な入園者を迎え入れました。ただし,今年も想定以上の来園者数で迎え入れる体制が後手後手に回った感は否めませんでした。言い訳がましいですが,昨年の3割増のペースはさすがにいかがなものでしょう。「もぐもぐタイム」などで来園者との接点になる僕たち飼育展示係は,さまざまな理由からお客さんに頭ごなしに怒鳴られたり,叱られたりといったことが多くなりました。お客さんに「伝えよう」でここまできたのですが,その一番大切な気持ちが揺らぎそうになります。例えば,ツアーバスで来園される方は時間に縛りがあります。でもその時間内に観ることができると思って来園します。ところがそうはいきません。そこで,さまざまな不満が噴出します。一般来園の車が多くなると,ツアーバスが乗降場所に着くまでにも時間を消費してしまいます。今年もまた,さまざまな課題が浮き彫りになりました。来園者数が増えればいいでかたづけられる問題ではありませんね。
と書かれていて非常に痛み入るとともに、「イイものを見せたい」意識と、その意識の結果として逆作用してしまうお客さんの量との間のジレンマに生真面目さゆえの辛さが滲みでていて、現場の人達が色々背負い込んでいるんじゃないかととても心配をしています。
団体客の受け入れなんかやめちゃえよ、と部外者としては簡単に思うのですが、施設の存在意義としてお客を選別することに抵抗はあるだろうし、何より来たお客さんのきっかけになることを願うのであれば入り口でお客を選ぶことなんてできっこないんだよなあ。「3時間以内の滞在では満足な見学ができないかもしれません」って言うよりも先に3時間でどう見せられるか考えちゃうんだろうなあ。苦しいよなあ。
あざらし館のマリンウェイ(縦にあざらしが通る例のアレ)で何気なく撮った写真見たらみんなすごく楽しそうな顔をしていて。でもそんな顔していながらマリンウェイの先にある水族の展示に目もくれず「何だこれで終わりか」とかふっと無邪気に口走るおっちゃんがいて「まだあるやんか!見てやれよ!」と心の中でいちいちぽっこり凹むわたくしもいたわけで。(部外者なのに大きなお世話なのに)
大体アトラクション見たいんだったらディズニーランドかUSJに行こうぜと思うのですが…こんなことスタッフからお客に言えるわけないし。

そもそも動物園ってあくまでその地域のものであって、遠くからやってくるお客さんはほぼタダ乗りのフリーライダーなんじゃないかと思うのだけど、あそこまで混んでしまうと地元のお客さんは来辛くなるよな、と思っていたら地元のボラ募集のパンフに「地元からの来客は減少傾向に」って書いてあった。我が意をえたり。旭山絶賛な人(大体地元じゃない気がする…)によく見られる「旭山は○○なのにどこそこはダメだね」という言葉の陰には、あくまで行政サービスをただ甘受するというスタンスが透けて見えるので好きになれないのです。てか、おめえさん動物園ホントはそんな好きじゃなくないか?、とか思ったり。ともかく人間の思考がその言語能力に規制されるように、動物園もそのジモティの意志や意向を天井としたサービスの展開しかできないのです。図書館や博物館なんかもぜんぶそう。時々突然変異的にすごく面白いのが出てきたときにそこにわーっと集中して消費するより、地元のとこを大事にしつつその種をバラ蒔くこと考えましょうやと思うのです。というワタクシは直島と金沢21世紀美術館に興味があります。

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地域のみなさんとキーパーさん

なんか一日いただけでものすごく沢山のことを考えてしまいました。そしてまだ気持ちの中のつぶつぶしたものがしっかり残っています。
とりあえずアウトプットはしょらないようにしていこうっと。

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ウインクされたよ



それと腹立った話2つ。
 混む前にお昼を食べようと10時半ごろにレストランへ行って、カフェテリア形式のとこで料理を選んで席に戻ると左側に読売旅行の名札(参加者でなく添乗員のね)を付けた男女がいて、テーブルに沢山のチケットを広げたままずっとどこかにブッキング関係の問い合わせ電話をしていて。並んで待ってる人いるのに料理も取らず(=お金払わず)ずっと電話してやんの。もうね、「何だこいつら」と。アホかと。…と一人でイライライライラしていたら店員さんも気づいたらしくやんわりと嗜めに来てグッジョブ!と思ったらその添乗員たちテメエさんたちの荷物片付けて無言で出ていきやんの。セルフのコップ置きっぱなしで。仮にもお前さんら客商売だろ、読売旅行なんて絶対つかわねえと心に誓ったのでした。伏字にもしてやんね。読売旅行
せっかくおいしいご飯だったのに。

旭山の閉園で旭川市街に戻り、そのままの足で札幌まで高速バスで移動。ホテルに荷物放り込んでちょっと遅めの晩御飯を食べようととりあえず駅ビルの回転寿司屋さんに飛び込む。案内された隣の席の50代くらいのご夫婦、奥様ったらネタだけ喰ってる。おなかいっぱいになったんかなとチラ見していたら「ウニ頂戴」とか「生ズワイ!」とか注文続けてやっぱりネタだけ喰ってる。ウニなんか軍艦巻きだからチュウチュウ吸って。次第にお皿の上てんこもりになるシャリ。飲み屋で刺身頼めよと。昼の食べ物の恨みも含めていっぱい呪っておいた。

やっぱり自分は食べ物と社会教育的なるものからは自由になれないんだと非常に勉強になった一日でした。