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てつるぶろぐ

仮住まいなう

冬の国からの訃報。


むかーし。世紀が変わったころ。
東京の大学に入って、概ね大学生じゃない人達と人間じゃない生き物とつるんでました。


その年の秋。
山梨県の奥深く、もう少しで長野という辺りで200頭ちょいの犬が路頭に迷う事態が起こって、なんだかんだで立ち上がった保護プロジェクトに駆り出されて。
犬なんか飼ったこともなかったのにホイホイついてって(笑)
それからはもう毎週のように山梨往復したり、プレハブ小屋に泊まり込んだり、平日は平日でweb担当のサポートして殆ど読めもしないcgiを見よう見まねでいじったり。
夜中の電話で起こされて、徹夜で書類作ったり。授業の合間に電車乗って書類届けにいったりもしたなあ。てか今思えばそれでよく大学通ってたな…


現場の帰り、ボランティアさんの車にのっけてもらって。首都高のPAに下ろしてもらったら出口がなくって、たまたま声掛けてくれた道路公団の方に麻布の出口まで乗せてってもらって、タクるお金もなく真夜中に2時間知らない道を歩いて帰ったり…


初めて会う人といっぱい喋ったり。
色んな人とか犬とかに仲良くしてもらって、色んなこと教えてもらったりして。
手探りであちこち動き回ってたあの頃は指にソロモンの指環がついてたんじゃないかと思える今日このごろ。


そのプロジェクトは最終的にグレートデン(超大型犬)を一頭オーストラリアに送り出すまでしたりして。<特殊な生態系を維持しているあの国は動物検疫が非常に厳しく、この時検疫とやりとりしていた担当さん方の苦労には今でも(というか輸出入にも関わる仕事をしている今だからこそ、かもしれないけど)頭が下がります


で、何でそんな思い出話を書いたかというと、そのグレートデンコナツが昨日亡くなったそうで。あの種の犬にしては長生きだったんじゃないだろうか。
きったない、狭い一坪くらいのプレハブで排泄物にまみれてたあの子も、アップされてた最近の写真を見るとこんなに顔が白くなっても元気そうに笑って、逞しくなったんかと感慨深いものがあります。
オーストラリアの原っぱってのはどんな景色なんだろう、とかちょっと羨ましくもあり。いいおうち見つけたよね、っていうレベルじゃなく本心は代わりに行きたかったくらいで(爆)
夜の散歩とかさ、南十字星とかカノープスの下で走り回ってたんだろうな、あいつ。


まだ山梨にいた頃、前足を高さ1mくらいの柵に乗っけて立ち上がってたコナツと並んでぼんやり掃除さぼってたらボランティアさんに「ゎ、てつお前彼女できたんだ!」って笑われたりしたなあ。
僕のこと覚えてたかなあとかさすがに言わないけど、原っぱを走り回ってる時にふっと昔を思い出して、立ち止まって風の匂い嗅いだりしてたりしてたらちょっと嬉しい。

We are very, very sad at this loss of such a beautiful girl. I thank you again for enabling her to be a part of our life. She will be sorely missed.

http://blog.livedoor.jp/kurichan2006/archives/51045438.html


なんて飼い主さんに言わせて。ったく、幸せものめ。


最近身の回りに訃報が多いのですが、なんだかいい最期だなと思えることが多くて、そのたび泣き笑いみたいな妙な感覚。




「わたしの信じうる最高のことは」
わたしは言った。
「あいにくだけど"事実"なの」

ジャイアンツ・ハウス (新潮クレスト・ブックス) p.75




という言葉が好きだったりするわたくしは当然あの世とか天国とかそういうのは信じてないんだけど(写真も分析屋稼業も現実だけで事が足りるので)、もし間違って本当にそういうのがあるのなら。
先に死んでったあの子とかあの子とか、頬をわしって両手で挟んで顔でぐりぐりしたんねんとか思うのでありました。覚えてろー。